小田原カウンセリング ヒトリシズカでは、おひとりおひとりのニーズや目標に合わせてセッションを提供しています。
気になることやご質問など、どんなことでもお尋ねください。
カウンセリング
いま悩んでいることや心配していることをお聞きします。それが日々の暮らしや人間関係、仕事や人生をどのように左右してきたか、そして日々さまざまな影響があるなかで、ご自身がどのような言葉やつながりから力をもらっているか、どのような支えがあって過ごしているか聞かせていただきながら、相談される方の強みを見つけていきます。これまで一人で考えごとをすると同じところを行き来して、悩みが頭に浮かぶと不快な思いをしていたかもしれません。ずっと触れないように遠ざけてきた不快なものにセッションのなかで少しずつ意識を向け始めると、『本当はこんな風に感じていた』とか、『できることなら〇〇したかった』、『本当は〇〇したくなかった』など、ご自身の小さな声に気づくこともあるでしょう。自分では感じるにはあまりに辛すぎるからと、長いあいだ自分自身から切り離してきた様々な気持ちや感覚が呼び起こされるかもしれません。カウンセリングでは困りごとに応じて、ストレスの対処を学んだり、またセルフケアの体験を通じて、普段の暮らしに自分をケアする時間や、落ち着く助けになる工夫を取り入れていきます。人間関係の悩みでは、まずご自身が自分の欲するところに近づいて、それをベースに相手とどのようにつき合っていくのが「ちょうどいい」か、これからの自分づき合いをサポートしていきます。
ソマティック・エクスペリエンシング®(SE™)
ソマティック・エクスペリエンシング®(SE™)は、アメリカの医学生物物理学博士、心理学博士であるピーター・ラヴィーン博士(Peter A.Levine PhD)によって開発された、身体をベースにしたトラウマ療法です。
自然災害や事故、心身への暴力被害などトラウマ体験に遭うと、私たちの身体は闘うか逃げるか、また凍りつくことで生き残りを図ったり、権威ある他者が機嫌を損ねないよう機能的に社会交流することで生存の可能性を試みるなど、神経系は危機的状況において生命を守るため様々に反応します。トラウマ的な出来事によって、身体への強烈なストレスが瞬(またた)く間に・大量に・性急に課されると、私たちの神経系は圧倒されます。トラウマになるような体験をしたときに、安心できる人がそばにいなかったり、苦痛がやわらぐような体験がもてないと、圧倒された神経系は過剰に活性化して、そのエネルギーは解放される機会が与えられないまま身体に閉じ込められ、その後何年も過度な警戒や乱高下する感情、睡眠障害などの症状があらわれて影響が長引くと考えられています。頭では脅威がないとわかっている状況でも、ほんの些細なきっかけで突然心拍が早くなって息苦しくなったり、嗅覚や聴覚が研ぎ澄まされて『今すぐここから離れないと』と説明のつかない切迫感に襲われることがあります。また感覚が麻痺してその場から動けなくなったり、自分が自分であると感じられなくなったり、日常生活にさまざまな影響を及ぼします。ソマティック・エクスペリエンシング®では、この身体に刻み込まれた未完了の衝動(防衛反応)を身体感覚を通じて安全に体験し、完了することによって、自律神経系が安定していくのを目指します。神経系が安定してくると、脅威と安全の違いに意識を向けられるようになったり、自分の身体を感じるのに、危険だけではない感覚や合図に意識を向けられるようになることが期待されます。また困ったときに信用できる人を見つけて助けを求めたり、少しでも安心して過ごせる相手や場所を見つける実験をセラピストと一緒に始めることもできるでしょう。そして運動や趣味など自分が好きなことをして疲れたらペースダウンしたり休んだりと、いつの間にか活動量や休息のタイミングを、自分の神経系を軸に自己調整していることに気づくかもしれません。トラウマが出来事ではなく、神経系の調整不全であるという観点から、身体的な(Somatic)・体験(experiencing)に注意を向けていくことで、頭で理解する言葉に加えて、身体や感覚が語り伝えてくるものも大切にしていきます。
参考 ピーター・リヴァイン著 藤原千枝子訳 「心と身体をつなぐトラウマ・セラピー」 2008年 雲母書房
トラウマとは
トラウマとは、地震や火事、水難による被災や事故、暴力による犯罪被害、また手術における医療的処置など非日常的で危険な体験に加えて、虐待やDV,子どものころ養育者との不安定な関係やいじめなど、日常的に繰り返されてきた人との関係で大事にされない、誰からも守ってもらえなかった非常につらい体験によって、神経系が圧倒されることにより日常生活に支障が及んでいることを表します。神経系の調整不全から長期にわたり心身が脅かされることによって、生活にさまざまな影響があらわれて、複雑な症状は生きづらさへとつながることがあります。トラウマ症状があると自分やまわりを安全と感じられなないため、いまこの瞬間起こっていることに関心を向けるのもつらく、誰かと過ごしたり関係を保つのも難しくなります。
〇再体験症状
過去のトラウマ体験が今まさに起きているかのように甦り、当時の不快な感覚や感情がありありと感じられたり、悪夢を見てうなされたりします。
〇脅威感
トラウマ体験となった危険が去った後も、脳が過剰に興奮してなかなか眠れなかったり、ちょっとしたことでイライラして集中しづらくなるなど、危機的状況に対応するために緊張・警戒が続いている状態で、長期的には免疫系等の働きを乱して体の病気としてあらわれることもあります。
〇回避症状
トラウマ体験による強い苦痛や恐怖の記憶がよみがえることで再び傷つくことを避けようと、自分では気がつかないうちにトラウマに関連する記憶がよみがえるきっかけになりそうな場所や状況、人やものや会話、活動を自動的に回避します。日常的な行動が極端に制限されることで生活に支障をきたすこともあります。
〇感情の調整障害
感情は自分の状態に気づく手がかりになります。しかしトラウマがあると恐怖や怒りなど強い感情を抑えきれず、つらい気持ちが長いあいだ続くため、一切の感情を「私」から切り離します。しかしすべての感情を切り離すことにより、喜びや満足感などポジティブな感情までも感じられなくなります。
〇認知の調整障害
トラウマは信頼感をひどく損ない、ものごとや人に対する見方、考え方に否定感が固定されてしまう体験です。極端に自分を否定的に捉えたり、危険を見落とさないよう、相手や世界を見る目が歪んでしまうことがあります。子どもの頃からトラウマを経験すると、そもそも信頼感が何なのか、わかりません。
〇対人関係の困難
感情や行動の調整がうまくいかないと、誰に対しても『この人は危険か』『裏切られるのではないか』という思いで接するため、相手と近づき過ぎたり、または人づきあいを避けたりと、ほどよい距離感をとりにくくなります。また相手への期待や見方が『素晴らしい』か『最悪』かと両極端に揺れ動いたり、支配ー服従の関係にはまり込みやすく、対等で安定的な人間関係をもつのに困難をきたします。
参考 トラウマのことがわかる本 生きづらさを軽くするためにできること 白川美也子監修 2019 講談社
ソマティック・エクスペリエンシング®の向かうところ
ソマティック・エクスペリエンシング®(以下SE™)では、セッションの最初からトラウマを扱うのではなく、まずは自分の身体感覚を体験することから取り組んでいきます。ご自分の感覚を「感じること」が日常生活のなかでどのように役に立つか、身体の反応に意識を向けることから始めます。ゆっくり少しずつ身体の感覚を感じる時間をとったら、次は暮らしのなかで心地いいと感じられるものや趣味、喜びを与えてくれる推し(存在)やペット、安らぎが感じられる場所や記憶など、これまでの人生を生き延びる助けになったリソース(資源)を幾つか思い浮かべていきます。自分は何が好きで何が苦手か、また体調や疲れなど自分自身に注意を向けることが増えてくると、これまで家事や仕事、人づきあいで感じてきた負担や過剰なストレスにも気づきやすくなって、無理するのを減らしたり、休息や余暇を楽しむなど自分で調整していくことで心身が安定していくことでしょう。仕事の分量や人づきあいの程度など様々な刺激に対して、自己調整する力がついてくると、かつてトラウマの状況を生き延びるために翻弄されてきたような、過度の緊張や怒りで圧倒されるなど過覚醒な状態ではなく、また感覚が麻痺していたり動けない低覚醒な状態でもない、わりと落ち着いた状態で日常的な出来事に対応できる覚醒の範囲で過ごせるようになっていくでしょう。神経系が安定してきたところで、トラウマにまつわる不快な感覚や感情を扱う段階になります。SE™ではトラウマによって調整不全になった神経系の安定化をサポートしていくので、セッションではトラウマにまつわるエピソードをお話いただいている途中でも、セラピストが一旦話を止めて身体の反応に意識を向けてくださるようお願いすることがあります。トラウマ体験で何があったか頭(認知)での理解に加えて、意識を身体に向けて未完了の衝動を完了させていくにつれ、神経系が安定して自分の身体で過ごすことが楽に感じられたり、外の世界への反応や行動に備わった自らの身体の知恵に出会い、学びが得られることが期待されます。
箱庭療法
言葉は必ずしも必要ではなく、砂が入った箱に思うまま玩具や砂を使って砂箱のなかに自由な世界を表現していくことで、本来備わっている自己治癒力が自然に働き、活性化していく心理療法です。箱庭をつくるのに砂箱の前に立って砂に触れたり、気になるミニチュアを見つけて手に取ってみたり、砂やミニチュアを置いてしっくりくる感覚を味わってみたり、自分が表現する世界から起こってくるイメージや湧いてくる記憶など、さまざまな心の動きをともなう体験が、回数を重ねるごとに深まっていくのが感じられるでしょう。